LLCとLLP 課税について | 社労士ノート[女性の就業環境を考える]

LLCとLLP 課税について

前回LLC(合同会社)について書きましたので、今回はLLP(有限責任事業組合)との違いを書きたいと思います。


まず、前提としては前回冒頭に書いたように

LLC=合同会社=有限責任会社
LLP=有限責任事業組合=有限責任組合

ですので、その違いは組織が会社なのか組合なのか?
という部分にあります。

会社の利益配分のルールなどを出資者が自由に決められるという特徴はどちらも同じです。

では会社と組合で、何が違うの?
ということですが、前回ゆうちゃん0705さんのコメントにいただいたように、【課税される仕組み】に関して大きく違いがあるのです。


簡単に書きます。

LLC(合同会社)=会社自体に課税される

LLP(有限責任事業組合)=出資者に課税され、LLPには課税されない


LLC(合同会社)については、原則普通の会社と同じ仕組みと考えていいでしょう。

ですが、LLP(有限責任事業組合)の【出資者に課税】ってなんでしょう?

ちょっと説明します。

二人で同じ理念を抱いてLLPを設立したトマトさんとピーマンさんがいます。

トマトさんはマンションオーナーで、そちらでかなり稼いでいますので、LLP設立のほとんどの出資をしました。

ピーマンさんはサラリーマンですが、経営能力があるのでLLPに参加していて、サラリーマンの給料が少しあります。

もちろん、LLPで利益が出た場合、その利益配分は二人に均等にしようねとルールを作りました(前回の日記を参照)。

しかし年度が終わってみると、LLPは赤字でした・・・。

この場合、LLPの課税方式では出資者個人に課税されるわけです。

トマトさんは個人の収入がとてもありますので、税金もたくさん払っています。ですが今年はLLPの赤字がその計算に加えることが出来ます。

詳細は省きますが、【損益通算】という制度を使って、トマトさんの収入からLLPの赤字を引けることになるのです。

すると、収入が減るので、税金も少なくなります。良かったですね!

同じようにピーマンさんも、【損益通算】が出来ます。
ピーマンさんはごく普通のサラリーマンですから、このLLPの赤字を計算に入れると、もしかすると今年の収入自体がマイナスになる可能性もあります。すると、税金はほとんどなくなりますよね~。良かったですね!だって、ピーマンさんはLLPにはあまり出資していないんですから。

という風に、LLPの場合は出資者個人に課税するシステムなのです。

ちなみにこのような課税方式は【構成員課税】と呼ばれます、詳細が知りたい方はこの名称で調べてください。

LLC(合同会社)の場合は、LLC自体が法人格を持っているため、課税されてしまうのでこのようなメリットはありません。


では、反対にLLPが黒字だったらどうなるのでしょう?

LLPが黒字で、利益が出た場合には、トマトさんとピーマンさんに利益の配当が行われます。

すると、その配当への課税がありますので、そこで税金が取られます。

なんにもメリットがないように感じられますね?

ですが、もし二人がLLC(合同会社)を作っていた場合を考えて見ましょう。

LLC(合同会社)が黒字を出した場合、普通の会社のように会社の所得自体にまずは税金がかかります。

そして、LLCの出資者としてのトマトさんとピーマンさんへの利益の配分があるわけですが、それは個人の所得ですので、その配当自体にも課税されます。

これは税金の二重取りではないかと思うのですが、まぁそういう仕組みですので仕方ありません。

というわけで、LLPの方が税金の面ではメリットがあるわけです。


じゃあみんなLLPを設立するのではないかって?


長くなりましたので、その話は次回のネタにしましょう(笑)。

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